3石トランジスタラジオキット~とにかく受信する~

2022/08/21

3石トランジスタラジオ AMラジオ

t f B! P L

電子工作でラジオを作った、と言えるようになります。

 目次:

ラジオ作りの挫折とコンプレックス

電子工作初歩の定番に「AMラジオ」がありますが、一度として放送を受信できた試しがありません。曲がりなりにも電子工学を修め、本業としている身(自分でも信じておりませんが)として、これくらいは出来ておきたいと思いました。

なるべく簡単なものをと思い、夏休みの親子イベントで作るようなラジオをネットで見つけました。アルミテープを貼った封筒を重ねてバリコンを、洗面器にアルミ線を巻き付けてアンテナコイルを作りましたが。。。駄目でした。ラジオ放送らしきものは欠片も聴こえません。

小学校低学年くらいまでを対象とした、製作時間も半日程度の簡単な工作のはずなのですが。。。身の程を知りました。


3石トランジスタラジオキット

身の程を知ったところで自分を見限ることも出来ません。それなら失敗しようのないキットを買って、とにかく「電子工作でラジオ受信した」という実績を作ろうと思いました。

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3石トランジスタのストレートラジオです。販売元「シャンテック電子」のサイトには詳細情報もあり、パーツリストや回路図も閲覧できます。

ラジオキットのシャンテック電子 (shamtecdenshi.jp)

3石トランジスタラジオキット - シャンテック電子 (shamtecdenshi.jp)

同シリーズのラジオキットにはゲルマニウム、1石トランジスタ、2石トランジスタ、アンプ付き等種類がありますが、感度や出力不足での失敗を警戒してその点優れてそうな3石トランジスタラジオのキットを選びました。


図1.3石トランジスタラジオキット

同封されていた紙面の表面にはパーツリスト、回路図、実体配線図が記載されておりますが、これはシャンテック電子のサイトで閲覧できます。裏面にはキットの説明やアンテナコイルの製作例が記載されておりましたが、こちらは閲覧できないようです。


回路

理解できません。購入前から回路図を見てわかっておりましたが。

↓↓↓回路図は「説明書(PDF)」で閲覧可↓↓↓

3石トランジスタラジオキット - シャンテック電子 (shamtecdenshi.jp)

アンテナ受信した電位の揺らぎをコイル(330uH)とバリコンの並列回路で共振させ、初段のNPNトランジスタ(2SC1815GR)のゲートに入力、そのエミッタを2段目のゲートに入れるところは理解できます。ですが、なぜ初段のエミッタ抵抗(1MΩ)がGNDではなく3段目のゲートに繋がるのか、そこには2段目のエミッタから電解コンデンサ(4.7uF)を介した信号が入っているのに。。。以降、どんな理屈でこの構成になるのかさっぱりです。

ネットを探してもこれを読み解ける情報は見つかりません。このままこのキットでラジオを実現出来ても、これは作業にしかならなさそうです。

。。。それなら理解できるレベルのラジオキットをとも考えましたが、まずは確実なラジオ受信を優先します。3石で受信してから部品点数を減らして2石、1石、ゲルマニウムへと進めば良いでしょう。


製作

いきなりはんだ付けするのも嫌だったので、まずはブレッドボードに部品を挿して組んでみました。放送らしきものは何も聴こえません。

普通なら部品の初期不良や回路図を疑ってここで止めるのですが、これは過去一度も実現出来たことのない"ラジオ"です。ブレッドボードによる配線経路の延びすぎや、接触抵抗だとか無理矢理納得?して先に進みます。


ラグ板に組み上げました。


図2.ラグ板組み上げ(ケースは100均で購入)


やはり放送聴こえません。。。対策します。


対策と解決

結論、このラジオのアンテナ線をテレビ用アンテナ端子に繋ぐことで受信できるようになりました(近づけるだけでもある程度の効果あり)。逆にこのアンテナ端子無しで受信できる方法は見つかりませんでした。


図3.テレビ用アンテナ端子にアンテナ線接続


以下、他に試した対策とその効果です。

対策1.アルミサッシ窓枠の留めねじにアンテナ線を接続する

 窓枠の留めねじを緩め、そこにアンテナ線を繋ぎます。アルミサッシは表面を絶縁しておりますので、浮かせた留めねじ経由でアンテナ線を電気的に接続します。窓枠をアンテナに取り込んで放送電波の受信強度を高める方法ですが効果ありませんでした。

 木造建築の住居であれば効果あることもあるらしいですが、鉄筋建築では効果が現れ難いようです。なお、固い留めねじを緩める際に、ねじの溝を潰してしまわないよう要注意です。

対策2.電源電圧を高める(1.5V→3V)

 トランジスタの動作条件が良くなるようです。乾電池を2個に増やして直列に繋いでみましたが、確かに放送内容が聴こえやすくなったように感じられます。ただし、テレビ用アンテナ端子への接続無しで受信できるほどの効果はありませんでした。

対策3.電源ケーブルにアンテナ線を巻き付ける

 家電の電源ケーブルをコンセントに挿し、そのケーブルにアンテナ線を巻き付けます(電気的には繋ぎません。危険です)。住居の電源ラインをアンテナに取り込むようですが、駄目でした。これもアルミサッシ窓枠と同様、鉄筋建築では効果薄いのでしょうか。

対策4.屋外に持ち出す

 鞄に一式入れ、イヤホンつけて近所をうろつきましたが駄目でした。電波の受信環境の良い場所がわかっていて、そこに移動出来るのなら上手くいくのかもしれませんが、当てずっぽうでは難しそうです。

対策5.アンテナコイルを製作する

 説明書に紹介されていたアンテナコイルを作りました。駄目でした。

図4.自作アンテナコイル

 図4はφ12cmのスパイダー型アンテナコイルです。ポリウレタン銅線φ0.3mmを13m巻いて約330uHになるそうです。これをリードインダクタの代わりに接続すれば、外部アンテナを接続しなくても放送受信できるらしいと説明書に書かれておりましたが、効果ありませんでした。


所感

第一目標「電子工作でラジオを作った」は達成しました。受信出来たのは地元のローカル放送の1局だけでしたが。

決め手はテレビ用アンテナ端子の活用でした。放送電波を受信出来るように据え付けられているアンテナなのですから、窓枠や素人の手作りアンテナに比べれば格段に優れているのでしょう。もしかしたら過去の失敗時にも同様にアンテナ端子に繋げていれば解決出来ていたのかもしれません。

そして感度・出力に優れているらしい3石トランジスタラジオでさえも我が部屋ではこの程度です。要領や程度はわかったので、今後は理解が及ぶ回路で再挑戦したいと思います。


それにしても、世間様はこどもの頃からこのようなラジオ作りを、それも自作部品で実現していたとは。格差の大きさが恐ろしいです。

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