音に反応して光るイルミネーションを作ります。
背景
「作ってきたえて能力アップ」との、本の言葉を信じて作品を作ります。
(当記事内で「本」と呼びます↓)
作品名『サウンドライトニング』。音に反応する度に8個のLEDが順に尾を引くように光るから「ライトニング」(雷)だそうです。想像力の豊かさを感じる名前です。
ブロック図
マイク(ECM)出力をトランジスタ2段で増幅してシフトレジスタIC74164に入力。この74164にはタイマIC555からのクロックを常時入力しており、クロック立ち上がりでECM側からの電圧変動("L"電位)をとらえれば、その"L"がシフトレジスタを順に移動しながらそれぞれ出力のLED8個を順に点灯させていく仕組みです。
タイマIC555のCLK出力は周辺の定数より以下の通り。
RA=RB=24kΩ、C2=10μF
H期間:Th=0.693×(RA+RB)×C2≒33.3ms
L期間:Tl=0.693×RB×C2≒16.6ms
周波数:f=1.44÷{(RA+2×RB)×C2}=20Hz
主な部品
1・ECM
ECM(Electric Condencer Microphone)、つまりマイク。音を電気信号に変えます。本には「ECM(小型)」とだけ。
在庫から型番C9767BB422LFP。仕様は電源電圧1~10V。今回の回路は4.5V電源ですからこれで問題ないでしょう。
2・NPNバイポーラトランジスタ 2SC1815
電子工作定番の小信号用バイポーラトランジスタ(NPN)。2SA1015(PNP) とのコンプリメンタリ・ペア。元々の生産元であった東芝では生産終了。海外メーカの互換品が出回っており、今回使うのも互換品です。
3.タイマIC 555
これまた定番、有名なロングセラーIC。今回CLK発振源として使います。
価格が安く、多用途に使え、安定性が高いことによって世界中で広く使われるようになったICであり、たとえば2003年の1年間だけでもおよそ10億個が生産され[3]、これまで製造された中で最も有名な集積回路となった[4][5]。
(Wikipedia「555 タイマー」より抜粋)
4.シフトレジスタIC 74164
シフトレジスタIC。入力データ(H、L)をCLK立ち上がりで取り込み、以降CLK立ち上がりの度にレジスタを1bitずつシフトします。今回は各レジスタ出力に電流制限抵抗を介してLEDを点滅させます。
製作
1.ブレッドボードで回路の動きを知る
ECMの出力が想像つかないので確認しながら回路を組んでいきました。
74164への入力信号ですが、思っていたのと様子が違います。
写真6はECM間近で指を鳴らした波形(それくらいしないとECMから出力が出ません)。CH2(黄)のCLK信号はおおよそ計算通りの22kHz。これに対してCH1(赤)のECMからの電圧が瞬間的に落ち込んでますが、あまりに瞬間的なためCLK立ち上がりで捉えきれません。
断続的にECM側から入力あるのですが、それでも毎回のCLK立ち上がりにECM側からの”L”が入るわけでもありません。ECMの感度が鈍いのでしょうか。トランジスタ増幅段の抵抗を調節しても改善しません。
この作品の動画でもあれば、とネットを探しましたが見つかりません。仕方無いのでこのまま進めます。
2.基板カット。。。それと基材
ユニバーサル基板のカット。いつも通りアクリルカッターで目印程度に傷つけて、力任せにへし折ります。
ところでこのアクリルカッターでの基板カット、本には「ユニバーサル基板」のカット方法と書かれていますが、その基材は紙フェノール(もしくは紙エポキシ?)前提かもしれません。一方、わたしの基材はガラスエポキシ(以降「ガラエポ」と呼ぶ)。
紙フェノール基板
紙にフェノール樹脂を含浸したもの。別名ベークライト基板(ベーク基板)。安価で加工性が良いので、プレスによる打ち抜きで民生機器用基板を大量生産する際に使われる。反面、機械的強度が低く、反りも生じやすい。通常片面基板として利用される。
ガラスエポキシ基板
ガラス繊維製の布(クロス)を重ねたものに、エポキシ樹脂を含浸したもの。電気的特性・機械的特性ともに優れている。上記の基板と比較して高価ではあるが、近年の需要増加により、価格は下がる傾向にある。
表面実装用基板として最も一般的に使われている。両面基板以上の多層基板に利用される。
(Wikipedia(「プリント基板」より抜粋)
本に写る基板をその色からガラエポだと思っていたのですが、よく見れば作品によって基板の色が違います。中には明らかな紙フェノールの色も。
店で見比べたところ紙フェノールの色も様々。ガラエポっぽいものもありました。紙エポキシに至っては白っぽい。。。確証ありませんが、本の基板はガラエポではなさそうです。なにしろガラエポやガラスコンポジットの基板はアクリルカッターではカットできないとのネット情報が。。。まあ、へし折ったのですが。
実際ガラエポなら半日かけてへし折る基板でも、紙フェノールのもので試したら30分足らずで無理なくカット出来ました。無駄な労力でした。
そもそもガラエポを選んだのは、本業で基板(ユニバーサルではありませんが)と言えば、というほどになじみあったからでした。紙フェノール基板はよほど古い製品でしか見ませんし、紙エポキシは触れたこともありません。やはり本業ばかりでは頭が偏るのでしょう。
3.実装
本の通りに部品を基板に実装します。
何気に密集した配置です。実装の作業性、やり直し、波形確認を考えるならもっと余裕を持たせて素直にパターン伸ばした部品配置にすれば、とも思いましたが、筐体への組み込みのためには基板の小型化を目指すべきなのでしょう。やりにくくも感じますが、これも学びです。
4.アクリル板加工
黒のアクリル板は台座用(写真12)。別作品の使いまわしです。いちいち新品用意してたら出費が大き過ぎます。穴を追加してヒートガンで加熱、木板で挟んで曲げました。
今回初めてアクリル板を曲げましたが、ヒートガン使っている間ずっと天井照明がチラつきました。ご家庭でヒートガン使う時にはブレーカーに注意です。
続いてディスプレイ部分の透明アクリル板を加工します。
切ったアクリル板に半透明の付箋(百均で購入)を切って張ります。本に書かれているのは「散光シート」ですが、多分大きな差は無いのでしょう。
ライトニングっぽく(?)貼りました。
動作
感想
本、こと「電子工作大図鑑」は月刊誌「子供の科学」の連載をまとめたもの。「子供の科学」の対象読者は小中学生。よってこの本も小中学生向け。
小中学生、すごすぎます。
基板の基材を正しく(ガラエポを避けて)選び、オシロスコープで波形見てECMや回路の動作を把握。ECMに足を付けたり、小さな基板にグニャグニャに曲げたすずメッキ線を基板ランドに固定するはんだ付けはなかなかの器用さが要ります。オシロスコープもそうですが、アクリル板を曲げるヒートガンも買うのでしょうか。色々買いそろえるとそれなりの出費ですが。そして動きを見たこともない作品を回路組んで完成させる。必要な情報が一冊の本にすべて載っているわけでもなく、ネット検索して補って。
逆に言えば、この程度を大変に感じるわたしのスキルは小中学レベル以下なのでしょう。道理で本業で落ちこぼれ、「トランジスタ技術」も読みこなせないわけです。。。
(念のため「トランジスタ技術」について↓)
『トランジスタ技術』(トランジスタぎじゅつ)は、CQ出版社が発行する電子工学専門月刊誌。1964年10月創刊。毎月10日発売。
~中略~
電子工学などのハードウェア全般や電子工作に関する記事が中心であり、『エレクトロニクスライフ』等、他の電子工学系の雑誌が次々と休刊(事実上廃刊)していく中、代表的な電子工学系の雑誌として真空管時代から現在まで生き残り、『トラ技』(とらぎ)と呼ばれプロにもアマチュアにも愛読されている。
(Wikipedia(「トランジスタ技術」より抜粋)










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